ひとり社長のふるさと納税|上限は役員報酬で決まる・社長でもワンストップOK・経費にはならない【設立4年目の実例】
会社員時代からやっていたふるさと納税、法人を作ってからも毎年続けています。ただ、ひとり社長になると「会社の経費にできるのか」「上限がいくらになるのか」「ワンストップ特例は使えるのか」「会社としてやったほうが得なのか」という、会社員とは少し違う疑問が出てきます。結論から言うと、社長のふるさと納税の控除上限は、会社の利益ではなく自分が受け取る役員報酬で決まります。この記事では、ひとり社長のふるさと納税をこの4点で整理します。
ひとり社長のふるさと納税で迷う3つのこと
- ふるさと納税は決済(入金)日の年の寄附になります。年末はポータルも混み合うので、秋のうちに済ませておくと安心です
- 確定申告をしない年は、寄附先が5自治体以内ならワンストップ特例も使えます(詳しくは下の「ワンストップ特例は使える?」)
結論:ひとり社長のふるさと納税は「役員報酬」で決まる
ひとり社長が自分の会社から受け取る役員報酬は、税法上は「給与所得」です。つまりふるさと納税の上限は、会社員が給与で計算するのとまったく同じ方法で決まります。しかも役員報酬は期首3か月以内に決めたら期中は変えられないので、上限が年の初めからほぼ確定するのがひとり社長の特徴です。会社員のように「年末のボーナスで上限が変わる」ことがなく、計画が立てやすいです。
役員報酬別の上限の目安(年額)
| 役員報酬(年収) | 独身・共働き | 配偶者控除あり |
|---|---|---|
| 300万円 | 約28,000円 | 約19,000円 |
| 400万円 | 約42,000円 | 約33,000円 |
| 500万円 | 約61,000円 | 約49,000円 |
| 600万円 | 約77,000円 | 約69,000円 |
| 700万円 | 約108,000円 | 約86,000円 |
| 800万円 | 約129,000円 | 約120,000円 |
| 1,000万円 | 約176,000円 | 約166,000円 |
| 1,200万円 | 約239,000円 | 約229,000円 |
役員報酬を月額で考えるなら、年収300万円=月25万円、400万円=月33万円、500万円=月42万円、600万円=月50万円、700万円=月58万円、800万円=月67万円、1,000万円=月83万円、1,200万円=月100万円が目安です(賞与がない場合。事前確定届出給与で賞与を払う年は年収に足して見てください)。※総務省の目安をもとにした概算です。小規模企業共済やiDeCoの掛金(所得控除)が大きいと課税所得が減るので、上限も少し下がります。必ずポータルのシミュレーターで確認してください。楽天ふるさと納税
にも控除上限額のシミュレーターがあります。
- 小規模企業共済・iDeCoの掛金が全額所得控除になるので、その分だけ住民税所得割が減り、ふるさと納税の上限も下がる。シミュレーターに「その他の控除」として入力する
- 家族に給料を払っていて配偶者控除の対象なら「配偶者あり」の列で見る
- 副業から法人に移行した年(個人事業の所得と役員報酬が混ざる年)は、給与だけの計算では合わない

ワンストップ特例は使える?
✅ 会社で年末調整をしている
✅ 寄附先が年5自治体まで
✅ 医療費控除など確定申告の理由がない
⚠️ 個人事業の所得がある年(法人に移す前)
⚠️ 医療費控除・住宅ローン控除1年目など
⚠️ 6自治体以上に寄附した
⚠️ 自分の会社から家賃や貸付金の利子を受け取っている(同族会社の役員)
ひとり社長でも、自分の会社からの役員報酬だけで、会社で年末調整をしていればワンストップ特例は使えます。注意が必要なのは移行期です。私の場合、本業と並行して会社を作った年は給与が2か所になり、副業の所得もあったので確定申告が必要でした。確定申告をする年はワンストップ特例が無効になるので、寄附金控除を申告書に自分で書く必要があります。
ただし社長だけの落とし穴が1つあります。自分の会社から役員報酬のほかに「自宅を会社に貸している家賃」や「会社への貸付金の利子」を受け取っている人は、金額にかかわらず確定申告が必要です(同族会社の役員の特則、国税庁タックスアンサーNo.1900)。この場合はワンストップ特例が使えないので、寄附金控除は確定申告書に書きます。自宅兼事務所で会社から家賃を受け取っている人は要注意です。
ポータルのシミュレーターに役員報酬・家族構成・共済やiDeCoの掛金を入力
上限の8〜9割を目安に。決算や納税のタイミングと現金の出入りを合わせておく
翌年1月10日必着。確定申告する年は不要(代わりに申告書に記載)
会社に届く住民税の決定通知書で控除額をチェック
会社としてふるさと納税したほうが得?(企業版ふるさと納税)
「法人でやれば損金にできるのでは」と考える人も多いと思います。法人向けには「企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)」があり、寄附額の最大約9割が税負担の軽減になります。ただし、ひとり会社で使うにはかなり条件が厳しいです。
| 個人のふるさと納税 | 企業版ふるさと納税 | |
|---|---|---|
| 誰が | 個人(役員報酬から) | 法人 |
| 寄附額 | 上限まで自己負担2,000円 | 10万円以上 |
| 返礼品 | あり | なし |
| 寄附先 | 好きな自治体 | 地域再生計画に認定された事業のみ。本店所在地の自治体は不可 |
| 税の効果 | 所得税還付+住民税控除 | 損金算入(約3割)+税額控除(最大約6割) |
| 効果の上限 | 収入で決まる | 法人税・法人住民税・事業税の一定割合まで。利益が小さいと枠も小さい |
| 期限 | — | 令和9年度(2027年度)末まで |
- 返礼品がないので、個人のふるさと納税のような「実質2,000円でモノが届く」メリットはない
- 税額控除は法人税等の額が上限になるので、利益が小さい・赤字のひとり会社ではほとんど効かない
- 地域貢献としてやる分には意味があるが、「得をする」目的なら個人でやるのが正解
2025〜2027年の制度変更(上限の計算に関わるものも)
📅 最近の変更
🚫
2025年10月
ポータルのポイント付与が禁止
📦
2026年10月
返礼品の地場産品ルールが厳格化
🔝
2027年の寄附から
特例控除に定額の上限(高所得者向け)
💳
変わらないこと
クレカ決済のポイントは対象外
2025年10月から、ポータルサイトが寄附額に応じて付与していたポイントが禁止されました。「どのサイトが一番ポイントが多いか」で選ぶ時代は終わり、返礼品の中身と使いやすさで選ぶことになります。2026年10月からは返礼品の地場産品ルールがさらに厳しくなり、区域外で作られたものは対象から外れていきます。
上限の計算にかかわる変更も2つあります。1つ目は2026年分(令和8年分)からの所得税の基礎控除・給与所得控除の見直し(基礎控除は所得に応じて最大104万円、給与所得控除の最低保障は74万円)で、上限の計算の前提が変わります。ポータルのシミュレーターは「2026年分対応」と書かれたものを使ってください。2つ目は令和8年度税制改正で、2027年(令和9年)の寄附=2028年度の住民税から、特例控除額に定額の上限が付くことです(道府県民税77.2万円・市町村民税115.8万円、指定都市は38.6万円・154.4万円)。給与収入が1億円前後の人から影響が出る水準なので、ひとり社長の役員報酬の範囲ではまず関係ありませんが、「上限は収入に比例して青天井ではなくなった」とだけ覚えておけば十分です。
2024年12月から、Amazon.co.jpでもふるさと納税の寄附ができるようになりました。楽天ふるさと納税と同じく、普段のアカウントと支払い方法がそのまま使え、寄附の履歴も注文履歴で確認できます。上限額を確認したうえで、使い慣れたサービスから選ぶのが手間が少ない方法です。私は毎年、淡路島の玉ねぎとシャインマスカットを選ぶことが多いです。
まとめ
- ひとり社長のふるさと納税の上限は「役員報酬」で決まり、期首に固定されるので年初から計画できる
- 小規模企業共済・iDeCoの掛金分は上限が下がるので、シミュレーターに入力する
- 役員報酬1か所+年末調整ならワンストップ特例が使える。給与2か所や個人事業所得がある年、会社から家賃・貸付金の利子を受け取っている役員は確定申告
- 企業版ふるさと納税は返礼品なし・10万円以上・税額控除に上限があり、ひとり会社では個人でやるのが正解
- 2025年10月からポイント付与禁止、2026年10月から返礼品ルール厳格化。2027年の寄附からは特例控除に定額の上限(高所得者向け)

