設立後の運営とお金
PR

小規模企業共済は合同会社の役員も入れる?|会社員のまま兼業中は加入できない理由と、退職後に入るときの掛金の決め方

ひとり社長の小規模企業共済
gou
記事内に商品プロモーションを含む場合があります
📢 本記事は、副業から合同会社を設立して4年目のゴウが、自分の経験と公的機関の公開情報をもとに書いています。制度の数値は2026年9月時点のものです。個別の税務判断は税理士にご相談ください。一部にアフィリエイト広告(PR)を含みます。

会社員をしながら合同会社を作ると、「会社員には使えなかった節税の道具」がいくつか手に入ります。その中でいちばん最初に検討してほしいのが小規模企業共済です。ひとことで言うと「経営者のための退職金積立」で、掛金が全額所得控除になります。ただし、会社員として給与をもらいながら兼業している間は加入できません(中小機構の加入資格)。退職して会社一本になってからが本番です。

私自身も、本業を退職して会社一本になった直後(設立した年のうち)に加入しています。iDeCo・NISAと合わせて、個人側の「全額所得控除」と「非課税」の枠は全部使う方針です。

小規模企業共済とは

小規模企業共済は、国の機関である独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が運営する、小規模企業の経営者・役員・個人事業主のための積立制度です。毎月掛金を積み立てて、退職や廃業のときに共済金として受け取ります。

💴

月1,000〜70,000円

500円単位・あとから増減OK

🧾

全額所得控除

小規模企業共済等掛金控除

🎁

受取時も低税率

退職所得・年金扱い

🏦

貸付制度あり

掛金の範囲内で低利

合同会社の役員は加入できるのか(会社員兼業中は不可)

ここが会社員兼業のひとり社長にとっていちばん気になるところだと思います。結論は2段階です。合同会社の「業務執行社員」は加入対象(中小機構のFAQでも、合名・合資・合同会社は業務執行権のある社員が対象で、業務執行権のない社員は対象外と明記)。ただし、会社員として固定給をもらいながら兼業している間は加入できません。中小機構は「加入できない方」に「事業を兼業している給与所得者(法人または個人事業主と常時雇用関係にある方)」を挙げており、FAQでも「サラリーマンが副業的に事業をしている場合、主たる事業はサラリーマンなので加入できない」と答えています。会社員のまま合同会社を作った人は、退職して会社一本になってから加入する順番になります。

✅ 加入できる
✅ 合同会社の業務執行社員(代表社員)
✅ 本業を退職して、会社の役員が主な仕事になっている人
✅ 常時使用する従業員が20人以下(商業・サービス業は5人以下)
👉 退職して会社一本になれば問題なし
❌ 加入できない
❌ 会社員として給与をもらいながら兼業している人(主たる事業がサラリーマンと見なされる)
❌ 業務執行権のない社員
❌ 従業員数が基準を超える会社の役員

ひとり合同会社なら、あなた自身が代表社員=業務執行社員なので、役員としての条件はクリアします。残るのは「会社員の給与をもらっていないか」だけです。私も会社員のまま設立しましたが、申し込んだのは本業を退職して会社一本になってからでした。兼業中に申し込めるか迷う状況(週数日の勤務など)なら、申込前に中小機構の共済相談室と税理士に確認してください。

掛金はどの所得から控除されるのか(退職した年の注意)

💡 控除はこう効く(お金の流れ)
🏠
役員報酬
合同会社から
(給与所得)
➕
🏢
退職した年の本業の給与
その年だけ合算
➕
🧮
所得を合算
両方まとめて計算
➡️
🧾
掛金を全額控除
年最大84万円
➡️
📉
税金が減る
所得税+住民税
退職後は役員報酬から控除。退職した年は本業の給与と合算して確定申告

所得控除は「その人の所得全体」から差し引くものです。退職後に加入する形なので、控除されるのは自分の会社からの役員報酬(給与所得)で、自社の年末調整で「小規模企業共済等掛金控除」として申告します(秋に届く控除証明書を添付)。退職した年に加入した場合は、本業の給与(退職までの分)と役員報酬を合算して確定申告で控除します。だからこそ、役員報酬をあまりに低くすると控除しきれない掛金が出ます。役員報酬の決め方と合わせて考えてください。

⚠️ 退職した年に加入したときの手続き
  • 本業を年の途中で辞めると、本業側の年末調整は受けられない
  • 本業の源泉徴収票と自社の源泉徴収票の2枚を合算して確定申告し、そこで掛金の控除証明書を添えて控除する
  • 翌年からは自社の年末調整だけで済む

いくら掛けるのが正解か

節税効果だけを見れば上限の月7万円(年84万円)がもっとも大きいですが、小規模企業共済には注意点があります。掛金納付期間が20年未満で任意解約すると、受け取る額が掛金合計を下回る(元本割れ)ことです。

🚪 やめ方で受取区分が変わる

🏁

共済金A

会社を解散・廃業

→

👋

共済金B/準共済金

役員を退任

→

⚠️

解約手当金

自己都合で途中解約

やめ方受取区分ポイント
会社を解散・廃業した共済金Aもっとも有利な受取区分
役員を退任した(65歳以上など)共済金B/準共済金条件で区分が変わる
自分の都合で途中解約解約手当金20年未満だと元本割れ

掛金別の節税目安

月額掛金年間掛金節税目安(税率20%)節税目安(税率30%)
1万円12万円約2.4万円約3.6万円
3万円36万円約7.2万円約10.8万円
5万円60万円約12万円約18万円
7万円(上限)84万円約16.8万円約25.2万円

※税率は所得税+住民税の合計の目安です。実際の節税額は所得によって変わります。

ゴウ
ゴウ
私のおすすめは「毎月無理なく20年続けられる額」から始めることです。掛金はあとから増やせるので、最初は月1万〜3万円で始めて、会社の売上が安定してから上限に近づける、という順番で問題ありません。
⚠️ 2026年12月末で「現金納付」が終わります(中小機構のお知らせ)
  • 小規模企業共済の掛金は、2026年12月末をもって現金での納付(委託機関の窓口での払込)が終了し、2027年1月以降は原則として預金口座振替に統一されます。2027年1月からは掛金納付票なども送られません
  • 今も現金で払っている人は、2026年12月初旬までに口座振替への変更手続きが必要です(振替口座は中小機構の委託金融機関に限られ、ネット銀行は原則使えません)
  • 年内の手続きの締切は手続きごとに違います:12月に前納して2026年分の控除にする「掛金一括納付申請書」は11月20日必着、口座振替での増額は10月までの申込分が年内の控除対象、11〜12月のオンライン手続きや「現金なし」の加入・増額は2026年分の控除になりません。12月の口座振替日は12月18日
  • 出典:中小機構「商工共済ニュース 2026年秋号」・共済FAQ(2026年11月時点)。詳しい年末の段取りは「ひとり社長の年末にやること」

受け取るときの順番:iDeCoの一時金と「10年ルール」

小規模企業共済の共済金・iDeCoの一時金・会社からの役員退職金は、どれも退職所得として受け取ると税負担が軽くなりますが、受け取る順番と間隔で退職所得控除の使える額が変わります。

受け取る順番重複排除の期間(条文)通称
iDeCoの一時金を先 → あとから退職金(共済金・役員退職金)その年の前年以前9年内にiDeCo一時金を受けていると、勤続期間の重複分の控除が減る(令和7年度改正で4年内→9年内。2026年1月1日以後に支払われるiDeCo一時金から適用)「5年ルール」→「10年ルール」に
退職金を先 → あとからiDeCoの一時金iDeCo一時金を受ける年の前年以前19年内に退職金があると重複分の控除が減る(変更なし)「20年ルール」

出典:財務省「所得税法施行令等の一部を改正する政令要綱」(令和7年度)、所得税法施行令70条。実際の控除額は勤続年数・加入年数で変わるので、受け取り時期が近づいたら税理士に試算してもらってください。

💡 ひとり社長の「3層」の考え方
  • 小規模企業共済(退任・廃業時に共済金)、iDeCo(60歳以降に一時金または年金)、役員退職金(会社から)の3つを、別々の年・十分な間隔で受け取れるように設計すると、それぞれで退職所得控除を使いやすくなります
  • iDeCoを一時金で先に受けると、その後の退職金は10年空けないと控除が重複分だけ減る。逆順なら20年。どちらを先に受けるかで必要な間隔が倍違うので、60歳前後の受け取り計画は早めに
  • 私はまだ受け取りの時期ではないので、ここは「加入している制度と今の考え」までです。年金形式で受け取る選択肢もあり、そちらは公的年金等控除の対象になります。iDeCoの側の話は「合同会社を作ってもiDeCoの上限は上がらない」、セーフティ共済との違いは「経営セーフティ共済はひとり合同会社に必要?」

設立前の自分に言いたいこと

小規模企業共済は、会社一本になればすぐ加入できて、効果がその年の税金にそのまま出ます。退職して最初にやる「お金の手続き」として、優先度が高いものです。会社員のまま設立した人は、退職の月を加入のタイミングとして予定に入れておくとよいと思います。

STEP 1
法人口座を開く
売上の入金・経費の支払いの起点。設立登記が終わったら最初にやる手続き(小規模企業共済の掛金は法人口座ではなく、自分個人名義の口座から引き落とされる)
↓
STEP 2
加入資格を確認する
業務執行社員として登記されているか、従業員数の要件を満たすか、会社員の給与をもらっていないか
↓
STEP 3
金融機関・商工会議所で申し込む
窓口も掛金の引き落としも中小機構の委託金融機関に限られ、ネット銀行は原則使えない。メガバンクか地銀・信金の口座を1つ用意しておく
↓
STEP 4
確定申告で控除する
本業に知られたくない場合は年末調整に出さず、確定申告で申告する
📌 設立直後にやることの関連記事

小規模企業共済の掛金は法人口座ではなく個人口座から引き落とされます。設立直後に法人口座・会計ソフトをどう揃えたかは、こちらの記事にまとめています。

まとめ

📝 この記事のまとめ
  • 合同会社の業務執行社員は加入できる。ただし会社員の給与をもらいながらの兼業中は加入できず、退職後に入る
  • 掛金は月1,000〜70,000円で全額所得控除。退職後は役員報酬から控除される
  • 20年未満の任意解約は元本割れなので、続けられる額から始める
  • 退職した年に加入したら、本業と自社の源泉徴収票を合算して確定申告で控除する
Xでも発信しています

ひとり社長の制度の小ネタや、副業から法人化までの気づきを毎日投稿しています。

@hitori_goudou をフォローする
ABOUT ME
ゴウ
ゴウ
副業から合同会社を設立して4年目のひとり社長/エンジニア
本業を持ちながら副業(口コミサイトと受託開発)を12年育て、本業と並行して合同会社を設立。その後、法人に一本化しました。いまはSESを本業に、自社Webサービスと口コミサイトを運営しています。立ち上げ前に自分が不安だったこと・迷ったことを、実際にどうだったかと一緒に書いています。
記事URLをコピーしました