公庫の創業計画書の書き方|8項目にひとり法人は何を書くか、副業の実績と自己資金の見せ方、面談で聞かれること
公庫の創業融資で、いちばん時間をかけるのが「創業計画書」です。A3一枚の様式ですが、面談はこの紙に沿って進みます。この記事では、8つの記入項目に何を書くか、副業の実績をどう使うか、自己資金をどう見せるか、税理士事務所に手伝ってもらうとどう変わるかをまとめます。制度の全体像は「ひとり合同会社でも日本政策金融公庫の創業融資は受けられる」を先に読んでください。

創業計画書の8項目と、ひとり法人での書き方
| 項目 | 書くこと | ひとり法人(SES・受託)の書き方のコツ |
|---|---|---|
| ① 創業の動機 | なぜこの事業か、なぜ今か | 副業で何年やってきたか、取引先から法人を求められた、など「経験+きっかけ」で書く |
| ② 経営者の略歴等 | 職歴・資格・事業経験 | 本業の職歴と副業の実績を分けて書く。副業の年数と売上規模は数字で |
| ③ 取扱商品・サービス | 何を・誰に・いくらで | SES(準委任・時間単価)と受託開発を分け、単価の目安と稼働の見込みを書く |
| ④ 取引先・取引関係等 | 販売先・外注先・支払条件 | 決まっている案件があれば社名と開始時期。「月末締め翌月末払い」など回収条件も |
| ⑤ 従業員 | 雇用の予定 | 「本人のみ」「家族が事務を手伝う」など正直に。無理に増やさない |
| ⑥ お借入の状況 | 住宅ローンなど既存の借入 | 隠さない。返済負担が計画に織り込まれているかを見られる |
| ⑦ 必要な資金と調達方法 | 設備資金・運転資金と、自己資金・借入の内訳 | 左右の合計を一致させる。運転資金は「入金までの空白期間」を根拠に |
| ⑧ 事業の見通し | 創業当初と軌道後の月平均の売上・経費・利益 | 単価×稼働時間×月数で根拠を示す。返済額が利益の中に収まっているか |
※様式・記入例は公庫サイトからダウンロードできます(創業計画書、記入例、セルフチェックシート)。
副業の実績は「最強の根拠」になる
創業融資の審査で見られるのは「この計画は実現できそうか」です。ゼロから起業する人は将来の話しかできませんが、副業で実績がある人は過去の数字を出せます。使える根拠は主に次の3つです。

自己資金の見せ方:金額より「出所」
2024年の制度見直しで、公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」には自己資金の要件(創業資金の1/10以上)は制度上なくなったとされています。ただし、自己資金の額と出所が審査の重要な材料であることは変わりません。見られるのは「いくらあるか」より「どうやって貯めたか」です。
✅ 通帳で積み上がりの履歴が追える
✅ 退職金(明細で説明できる)
⚠️ 資産の売却代金(売買の記録)
👉 出所を証明できる書類を揃える
❌ 出所を説明できない現金
👉 やると信用を失う

新規開業・スタートアップ支援資金の条件(2026年9月時点)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 新たに事業を始める人、または事業開始後おおむね7年以内の人(法人・個人を問わない) |
| 融資限度額 | 7,200万円(うち運転資金4,800万円) |
| 返済期間 | 設備資金20年以内、運転資金10年以内(いずれも据置期間5年以内) |
| 利率 | 基準利率が基本。女性・35歳未満・55歳以上・創業セミナー受講者などに特別利率あり |
| 担保・保証人 | 希望を聞きながら相談する形。一律の無担保無保証ではない |
※日本政策金融公庫の公式ページより。最新の条件・利率は公庫サイトで確認してください。
面談で聞かれることと、答え方
面談は計画書に沿って30分〜1時間ほど。聞かれるのは特別なことではなく、計画書に書いた内容を、自分の言葉で言えるかです。
- なぜこの事業か:副業でやってきた経験と、法人にした理由(取引先の要望、信用、共済など)
- 自己資金の出所:いつからどう貯めたか。通帳を見ながら説明できるように
- 取引先の見込み:決まっている案件は社名・開始時期・単価。決まっていないものは「見込み」と正直に
- 売上と返済の根拠:単価×稼働で月の売上、そこから固定費と役員報酬を引いて返済額が収まるか
- 生活費の見通し:家族の理解、生活費をどこから出すか
- 前職や取引先の悪口、うまくいかなかった理由を他人のせいにする言い方
- 計画書の数字を自分で説明できない(税理士に作ってもらった数字でも、根拠は自分で言えるように)
- 借入額を「借りられるだけ」で決めている。使い道と返済の見通しが曖昧
税理士事務所に支援してもらうと何が変わるか
私は税理士事務所に融資の支援をしてもらいました。やってもらったのは、計画書の数字の妥当性チェック、必要書類の確認、面談への同席です。認定経営革新等支援機関(多くの税理士事務所が該当)は創業計画のブラッシュアップを日常的にやっているので、数字の作り方と面談の雰囲気を知っているのが大きなメリットです。候補を比べるなら税理士ドットコムが使えます(私も比較に使いました)。
税理士の探し方は「ひとり合同会社の税理士はどう探す?」にまとめています。
私は税理士ドットコムで候補を比較し、最終的には知人の紹介で契約しました。融資支援をしてくれる事務所かどうかは、問い合わせの段階で「創業融資の支援実績」を聞けばすぐ分かります。設立前の相談なら、会社設立専門の税理士法人の無料相談も使えます。
まとめ
- 創業計画書は8項目。ひとり法人は「副業の実績」を経営者の略歴・取引先・事業の見通しに使うと説得力が出る
- 自己資金は金額より出所。通帳で積み上がりが追える預金が最強、見せ金は禁物
- 新規開業・スタートアップ支援資金は限度額7,200万円、運転資金10年以内、据置5年以内。自己資金要件は制度上なくなったが審査では見られる
- 面談は計画書に書いたことを自分の言葉で言えるか。数字の根拠と自己資金の出所を準備
- 税理士事務所(認定支援機関)の支援で、数字の妥当性と面談の準備が楽になる

